11月の珈琲
「ジアマンチーナヨシマツ」

みなさんへロマンのある珈琲をご紹介させてください。(カフェ・ド・カルモさんHPより一部引用)

 時は1965年へ遡ります。日本政府の海外移住計画のもと、ブラジルへと渡った吉松早苗さん。彼は、1946年5月22日、山口県熊毛町(現周南市)に7人兄弟の末っ子として生まれました。
 ブラジルに渡った彼はまずカストロという入植地でジャガイモ栽培をし、雇農として生計を立てていましたが、さらなる飛躍のため、1971年パラナ州マリンガに行きます。ここでは農場経営者となり、はじめて自分の農場を持ちます。さらに飛躍するため1974年に家族とともにミナス州ジアマンチーナで新たな挑戦を始めます。

 ジアマンチーナはその名の通り昔から金やダイヤモンドの産地で、あまり農業には適さない土地だそうです。彼は町から少し離れたところで、野菜作りを始めました。野菜栽培は順調にすすみ、さらに夢だった「コーヒー栽培」を行いたいと考えます。ところがこの地域は国によりコーヒーの栽培には適さないとされており、コーヒー栽培に欠かせない国の融資が受けられません。
 それでもどうしてもコーヒーを作りたいという一念で、1978年すべて自費で6000本のコーヒーを植えます。本来なら国の融資を受け、トラクターなどの機械を揃えてから行うのが普通ですが、吉松さんはすべて手作業で行ったそうです。このような危険を冒しながら、「コーヒーなどできない土地」「国も見放した土地」といわれた場所で、1980年に最初の収穫を迎えます。そして、これが高品質だったことには非常に感動しました。その後、国もこの土地をコーヒー栽培適合地として認め、農場は順調に拡大していきます。
 長男リカルドさんは西村農業学校で最新式の農業を学び(ここで下坂さんの長男・優さんと同級生に)、今の農場経営の礎をつくります。
 リカルドさんは、農場経営にいろいろな改善点を加え、コーヒー栽培に欠かせない灌漑設備や乾燥機、倉庫、収穫機などを充実させます。特に今は環境保護を目的にした、自然を大事にする農業に取り組んでいます。
 常にチャレンジし続ける吉松さん、それを受け継ぐ子供たち。今までコーヒーがとれないとされてきたジアマンチーナで吉松さんの農場では80ヘクタール以上ものコーヒーを栽培しています。

<農場データ>
農場名 Fazenda Riacho das Varas
所在地 Diamantina Minas Gerais Brasil
経緯度 S18°17′ W43°57′
標高  1,047m
総面積 554ha コーヒー栽培面積 87.8ha
コーヒー栽培本数 313,500本
品種 Mundo Novo, Catuai, Catucai
年間生産量 4,200袋

<焙煎>
■ライト
ブラジルらしさの残る軽さと香ばしさ。マイルドな酸質。柔らかな口当たり。

■ストロング
ブラジルといえばナチュラル。そう言われる時代がありました。複雑でいてコクがあり、古き良きブラジルらしい"雑"な味わい。

11.1より発送日を毎週火曜日と金曜日とさせていただきます。

今月の厳選豆

ここは、コーヒーにとって一番いいところ。
大切なのは、
焙煎のこと。
保管のこと。
そして、味をみること。

「焙煎のこと」
屋根より少し高く上がった煙突からは、焙煎の煙がたくさん出てきます。煙は黙々、モクモクとあがり、周囲にいい香りを漂わせてくれます。町場の焙煎所では、近隣の問題から煙の取扱いに気を使いますが、当店の場合は心配無用。煙は好きな方に流れたり、漂ったり。

周囲のことや時間を気にせず焙煎に没頭できるこの場所は、最高の焙煎向きの環境だと思っています。

「保管のこと」

当店では、コーヒー生豆を外気の影響を受けにくいように設計した倉庫で保管します。温度や湿度を把握し、外気を取り入れて風を通したりしながら、焙煎を迎えるまでの生豆を最善の状態で管理します。
さんない村麓は、夏も比較的涼しく、風もよく吹き、半日は日陰になるような場所に立地しています。これはコーヒーにとって理想的な環境だと思っています。

「味をみること」

焙煎できた珈琲豆は、店主自ら試飲します。思い通りの味に仕上がっているか、おいしさが宿っているか確かめたいのです。
粉砕にあたっては、細胞を壊さずに挽くことのできる機構をもったコーヒーミル”リードミル”を使い、抽出はコーヒーを抽出するために縫製されたネルを使って、湯を透過させます。
そして、味をよく感じるために陶芸家に特注した口当たりの薄い白磁のカップで試飲します。

珈琲豆